女嫌いと男性恐怖症
「やっぱりアキには酷だったか。朝に、アキのためにもなるなんて言って、悪かった」
思いもよらない謝罪の言葉に、晶も冷静になると、はぁと息をついた。
「俺こそ悪かった。八つ当たりだ。朝の直樹との会話で、行き詰まったわけじゃない」
やっぱり何かあったのかと、さすがに心配になると、直樹は穏やかな声で話し出す。
「あんまり、自分を追い詰めるな。アキが心地よいと思う行動は、たいてい正解だ」
根拠のないあっけらかんとした言葉に、ハハッと笑う。
「なんだ。また面白がってるな?」
「ハハッ。バレたか」と、電話の向こう側の明るい声が、晶の心を軽くした。
「さっき依頼された件は、調べておく。いつ取りに来れる?」
本当の要件は、このことだったようだ。
「あぁ。そのことだが」