女嫌いと男性恐怖症
コンコンコンッ。
控えめなノックの音に空耳かと疑うと、もう一度、コンコンコンッと音がした。
「なんだ」
低い声を出し、布団をぎゅっと握りしめた。
うなされた声が聞こえたのか。
「あの。眠れないです。ココアを、飲みたくて」
嘘に決まってる。
こんなにタイミングよく、俺の部屋に来るはずがない。
「無理ならいいんです。すみません。夜中に」
遠慮がちな声を聞き、ベッドから起き上がりドアを開けた。
「行くぞ」
遥の顔を見ずに、部屋からキッチンへと向かった。