女嫌いと男性恐怖症

 ココアを2つ入れ、ソファに座る。
 一人掛けと、二人掛けの一番端に。

 ほわっとした湯気が、心にも染み入る温かさだった。

「ココアはやっぱりこんな眠れない夜に、直樹が入れてくれたんだ」

 懐かしく思って、つい口を開く。
 その時の直樹も何も聞かず、ココアを入れて一緒に飲んでくれた。

「依存って知ってるか?」

 こいつに聞いてどうするんだと自分でもおかしかったが、聞いてみたい気分だった。

 遥はマグカップで、手を温めながら考えている。
 小さなその手は、マグカップがはみ出るほどだ。

「依存って。アルコール依存とかの、依存ですか?」

 頷いて、そうだと示す。

「それがないと、おかしくなっちゃうくらいになってるってことでしょうか?」

 それがないと。
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