女嫌いと男性恐怖症

 マンションの外に出て、直樹と並んで歩く。

「悪かったな。わざわざこのために」

 街路樹の葉の色が緑から赤に色づき始め、早い葉はもう落ち葉になっているものもあった。

 そういえば、最近はめっきり秋らしくなってきたな。
 上着を着てこなかった晶は、肌寒く感じていた。

 歩きながら、直樹は鞄から大きめの封筒を出す。

「これは前に言ってた資料。でも近所のお兄ちゃんってだけじゃ、なかなかな。どこまでを、お兄ちゃんというのかってのもあるし」

 晶に渡しながら、付け加える。

「それに誰か分かったところでなぁ。遥ちゃんから詳しく聞き出そうとすれば、セカンドレイプになっちまうだろ?」

 そのくらい、分かるもんだよな。
 俺は、どうかしているんだろうか。

「そういえば。行き詰まってたのは、もういいのか?」

「あぁ。なんとかな」
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