女嫌いと男性恐怖症

「直樹が来るのがそんなに嫌か?」

 急に質問され、ギクッとした顔は隠し切れていなかった。

「無理はしなくてもいい。ただそれなりにハルも好意的に思っていて、直樹もハルの事情を心得ている。慣らすのにはもってこいたと思うんだが」

 黙っている遥に、やっぱり無理だったのかと諦めかけた時に、遥が口を開いた。

「今のままではダメでしょうか。お邪魔にならないように気をつけます。だから」

 ここから追い出さないでください。の言葉が、後に続くような気がした。

 こいつも、居場所がなくて不安なんだな。
 これが依存ではないことは、理解した。

 しかし。

「別に早く男性恐怖症を治して、出て行けと言ってるわけじゃない。ただそのままだと生きづらいだろ? 俺も、いつまでも休んでいるわけには」

 え? とした顔の遥に、またやっちまったか。と視線をそらしても、意味がなかった。

 何故こいつ相手だと、こうも余計なことを口走るのか。

「休んで、いたんですか?仕事」

 答えたくなくて、誤魔化すようにまたコーヒーを飲む。
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