女嫌いと男性恐怖症
「それで具体的には、何をしたらいいんでしょうか?」
晶は自分のできる限りで、優しく分かりやすく遥に教えることに努めた。
そのおかげか、理解したようだった。
「知っている直樹さんに慣れて、少しずつ知らない人に会っても、大丈夫にするって感じですか?」
「まぁそんな感じだ」
だいたい俺とは大丈夫なのに、さっきの直樹はまだダメそうだったな。
どうしたもんか。
「心配なら専門家を訪ねてもいいぞ。こんなの素人判断でやっていいのか、俺も不安には思う。特に今朝のを見るとな」
晶とは遠慮こそしているものの、あまりにも普通に会話しているから直樹はいけると軽く考えていた。
俺が、ただイレギュラーなだけか。
「すみません。何から何まで。でも病院はちょっと。女の先生がいるのは、分かっていますが」
「なんだ。こわいのか?」
ガキだと笑ってやろうと思って聞いたのに、深刻な顔で頷く遥に笑うことはできなかった。
遥の闇は、まだまだ深いのか。
「ま、どういうわけか、俺はこれだけ大丈夫なんだ。そこにまず自信を持つんだな。あと、俺も直樹も無理強いはしない。そこは安心してくれ」