女嫌いと男性恐怖症
「この子、遥ちゃんって言うんだけど、遥ちゃん男性恐怖症らしいの」
「男性恐怖症!」
思わず出た直樹の声に、遥はビクリと体を揺らした。
「しまった」と、直樹は口を押さえて肩を竦める。
「そう男性恐怖症だそうなの。で、ひどい時は近づかれただけで過呼吸になったり、蕁麻疹が出てしまうそうで」
蕁麻疹までは、出てないようだ。
触れていたら、まずかったかもしれない。
「それで、倒れた時も男の人はイヤとか言ってたんだな」
晶が納得した様子でつぶやくと、直樹が晶と遥を交互に見比べた。
「なぁ。遥ちゃん。アキのことは、大丈夫なのか?」
直樹の話すのを怯えながら聞いて、ボソボソっとうつむいて何かを話した。
何も聞き取れなかったそれを、陽菜がもう一度聞き返してくれた。
ボソボソと、陽菜に耳打ちする。
「あら。そうなの」
驚いた様子の陽菜は「二人にそう伝えるわね。」と遥に確認してから、二人に向かって口を開く。
「今も男の人に見えないって。晶くんのこと」
ハハハッと、直樹はテーブルに手をついて笑っている。