女嫌いと男性恐怖症
晶はマスターの「アキくんの指定席」の話を聞いても、何も質問してこない遥に助かっていた。
それが気遣いだと思われるのは、居心地が悪かった。
ハルを奥に座らせたのは、変に知らない男が隣に座って過呼吸なんて出たら、自分が面倒だったからだ。
ハルのためなんかじゃない。
自分のためだ。
だいたい自分が女が嫌だからと、あのカフェに連れて行った。
女が滅多に来ないカフェへ。
ハルが欲しがっていたコーヒーの道具も、本当はいろんな道具が売ってるような店で選ばしてやりたかったが、女が多そうなところや人混みが嫌でカフェで全て済ませてしまった。
そのことへの、負い目も感じていた。
それでも嬉しそうに隣を歩く遥に、まぁ良しとしよう。と思うことにした。