女嫌いと男性恐怖症
「山本遥さん。生年月日は、えっと。23歳ってことでしょうか?」
直樹が俺の知らない間に、身分証明書をハルに渡したのか。と、理解すると警官の言葉に耳を疑う。
「世帯主は、高崎晶さん。この方は」
世帯主が俺って、どういうことだ!
直樹のやつ!
憤慨したい気持ちをどうにか抑えると「俺だ」とだけ、なんとか言う。
身分証明書代わりに持っている、乗りもしない運転免許証を見せた。
警官の持つ紙を覗くと、住民票だった。
遥の住所が、晶のマンションになっていた。
そして世帯主との関係は、同居人とある。
そりゃ住まわせてはいるが、住民票だぞ!
直樹への怒りが、ふつふつと湧き上がる。
しかし警官がいる手前、怒りを表に出すことはできない。
ギリギリする気持ちを、なんとか抑えると警官をやり過ごした。