女嫌いと男性恐怖症

「ジャスミンティーで、良かったですか? 本当はせっかくですし、コーヒーを淹れてみたかったんですけど」

 温かいジャスミンティーは、独特の爽やかな香りが柔らかい湯気とともにふわっと香った。

「ジャスミンティーの匂いは、リラックス効果があるんだ。遥ちゃんは、よく分かってるな。アキには、リラックスが必要だ」

 ったく。誰のせいだと思ってるんだ。
 怒る気も失せるほどに呆れ、苦々しい顔をする。

 その顔を見て、また直樹はクククッと笑った。

 直樹に非難する視線を向けてから、ティーカップを手にとった。

 匂いを胸いっぱいにする。
 確かに温かい方が、香りがよく立っていて癒される気がした。

「そういえばコーヒーをって。コーヒーメーカーでも買ったのか?」

 晶が持っていた荷物に目をやった直樹に、遥は目をキラキラさせて、晶はギクッとした顔をする。

「優しいマスターのお店に、連れていっていただいて」

「ハル! その話はいいだろ」

「え?」

 しちゃダメだったのかと、遥は口を手で覆った。

「もしかして、公園の近くの?」

 余計なことを言うなよ。

 と、いう視線を直樹に送るだけ無駄だと、晶はうなだれる。
 すでに直樹は、面白いことを見つけたとニマニマした顔をしていた。
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