お帰り!フランス人の王子様

部屋の入り口から、
床に座っている王子の所まで
道は作られた。


「あー、お父さんにメールしないと」

ルイはスマホを触り始めた。

「お父さんどうしたの?
具合は良くなったんでしょ?」

私はルイ横に腰を下ろした。

「うん!まあ、明日帰るよってメールな」

チラッとスマホを見てみると、
全部フランス語!

当たり前か。
何が書いてあるか読めない。
それも当たり前だ。

「ねー、ルイー」

「あー?」

「寂しくないの?」

「もちろん寂しい」

王子はスマホをベッドの上に放り投げた。

「でも悲しい雰囲気したくないからな。
気持ち見せないけど」

王子は毛玉だらけのぼろぼろ靴下を
スーツケースの角に詰め込んだ。

ああ、今度のプレゼントは靴下にしよう。
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