お帰り!フランス人の王子様
王子様と旅行
*
ある夜。
私は動画サイトで小動物のビデオを見ながら
その日のバイトの疲れを癒していた。
お風呂にも入り、寝間着にも着替え、
ベッドの上で至福の時を過ごしていたその時…
バタン!
「リリー!シロハマ!
シロハマに行こう!」
隣の部屋のフランス人が
いつものように
ノックもせずに飛び込んできた。
「ねぇ、何百回も
『ノックしてから入って』
て言ってるのにまた勝手に入ってきたよね?
もう、わざととしか思えないんだけど」
癒しのパンダの動画を一時停止して、
のそっと起き上がると
ルイ王子が断りもなく、
私のベッドに寝転がった。
「ほら!リリー、見て!
シロハマ…」
ノックの話は無視かい!
もう諦めるしかないのか…
「ほら、ほら、見て!」
ガイドブックらしき物を
私の目の前に押し付けるのはいいけど
近すぎて見えないわ!
「ルイ、近いわ!」