ラブリー
「はーっ、お熱いですこと」

佐和子はパタパタと手で顔をあおいだ。

「まあ、いいんじゃないのか?

結果的には長い片思いが終わって、これからは両思いになったんだし」

三平はやれやれと息を吐いた。

「しかしまあ、なずなも小宮課長も一途だな。

特に小宮課長なんかすばらしいくらいに一途じゃないか。

35年間の人生の中で誰とも、それも1回もつきあわなかったなんて」

呆れたと言うように言った佐和子に、
「うん、それはわたしも驚いた…。

1回か2回くらいあってもいいはずなのにって思った」

わたしは言った。

「あっ、噂をすれば何とやら。

なずな、小宮課長が呼んでるぞ」

そう言った三平に視線を向けると、小宮課長はドアのそばで手を振っていた。

「はーい」

わたしは手を振っている小宮課長に返事をすると、彼の方へと駆けて行った。
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