ラブリー
「私、レズなんだよ」

昨日見たテレビ番組の話をするように、佐和子が言った。

「何だ、その顔は」

「い、いえ、別に…」

三平は首を横に振った。

「なずなのことが好きだったんだよ。

でもなずなは小宮課長に片思いをしていて、ついに彼と両思いになった。

まあ、なずなのことが好きで片思いが報われなかったと言う点では三平と一緒だな」

佐和子はあーあと息を吐いた。

なるほどと、三平は納得をした。

25年間の人生の中で彼氏がいなかったのも、なずなに小宮と別れることを勧めたのも、それは全部佐和子が同性愛者で、なずなのことが好きな故のことだった。

「私も新しい恋を探そうかな」

そう呟いた佐和子に、三平はりんごジュースをストローですすった。

 * * *
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