ラブリー
「デート?」

わたしは聞き返した。

「今度の土曜日、なずなの都合がつきそうならの話だけど」

そう言った小宮課長に、
「いいよ、行こうか」

わたしは首を縦に振ってうなずいた。

フッと小宮課長が笑った。

「えっ、何?」

わたし、変なことを言った?

そう思っていたら、
「こうしてデートに誘い出すまでの時間が長かったなって思って」

小宮課長はクスッと笑いながら言った。

「あ…」

わたしは10数年間だけど、小宮課長はそれよりも長く待っていたんだよね…。

そう考えると、
「よく我慢してたよね」

わたしは言った。

35年間の人生で誰ともつきあわなかったとなると、本当によく我慢ができたなと思う。
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