ラブリー
「いいと思ってるから、こうしてプロポーズをしているんじゃん。

あれから彼女いないし」

三平は答えると、ビールを口に含んだ。

「酔った勢いでプロポーズをしているならやめた方がいいと思うよ。

絶対に後で後悔するから」

わたしが言ったら、
「酔ってなんかいないよ」

三平は空っぽになったジョッキをテーブルのうえに置いた。

「俺はなずなの気持ちが聞きたいんだ。

なずなは俺のことをどう思ってるの?

俺と結婚してくれるの?」

三平が身を乗り出して、わたしに言い寄ってきた。

「さ、三平、ちょっと落ち着こうよ…」

酔っていないって言ってるけど、絶対に酔ってるよ。

「俺はいつでも落ち着いてるよ。

それよりも、なずなの返事は…」

「貝原、飲み過ぎはよくない」

わたしたちの間に入るように、第3者が声をかけた。
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