ラブリー
喫茶店での食事を終えると、わたしたちは会社へと足を向かわせた。

前を歩いている佐和子に対し、わたしと三平は彼女から5歩下がって歩いた。

「何だか、様子がおかしかったな」

佐和子の後ろ姿を見ながら、三平がコソッとわたしに話しかけてきた。

「本当だね、何があったんだろう?

あんな佐和子の姿を見たのは初めてだったから驚いた」

わたしもコソッと三平に言った。

「俺、思ったんだけどさ…」

「うん」

「もしかしたら、小宮課長のことが好きなんじゃないか?」

「えっ!?」

驚きのあまり、声が大きくなってしまった。

「おい!」

三平が慌ててわたしの口を手でふさいだ。

佐和子に聞こえてしまったんじゃないかと思って視線を向けたら、彼女はスラリとした長い脚で颯爽と歩いていた。
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