ラブリー
「頼まれてないです、わたしの意思です。

わたしの意思で別れてくださいと言っているんです」

すぐさま首を横に振って否定をした。

「じゃあ…」

小宮課長はわたしの顔を覗き込んできた。

あまりにも近い距離でやってきたため、どうすればいいのかわからない。

こんな近い距離になったのは初めてだ。

「どうしたら、なずなは僕の方に振り向いてくれるの?」

近い距離で聞いてきた小宮課長に、
「わ、わからないです…。

そんなことを聞かれても、答えようがありません…」

わたしは距離をとろうとした。

しかし、
「逃げられるのは困るなあ」

小宮課長の手がわたしの頬に触れてきた。

これで逃げ場はなくなってしまった。
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