ラブリー
昼食はたまたま目についたファミレスで済ませることにした。

「なずな、ちゃんと聞いていなかっただろ?」

店員に注文を終えて立ち去ったのと同時に、小宮課長が言った。

しまった、バレてた!

「えっ…そ、そんなことはありませんよ…」

だけど、わたしは首を横に振って否定をした。

「ホントか?

君は昔からぼんやりしていたところがあるからなあ。

会社でもたまに上の空になっている時があるし」

ニヤニヤとイジワルをするように笑いながら言った小宮課長に、
「そ、そうなんですか…。

今度からは気をつけます」

わたしは呟くように答えた。

「それとも、僕が手を繋いでくれなかったことを寂しく思った?」

そう言った小宮課長に、わたしの心臓がドキッ…と鳴った。
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