ラブリー
わたしはハンバーグセット、小宮課長はオムライスとサラダセットだ。

チラリとサラダの中に視線を向けると、
「トマト、食べましょうか?」

わたしは声をかけた。

「えっ…ああ、どうもありがとう」

小宮課長はサラダの器をわたしの前に差し出した。

わたしはそこからプチトマトを取り出すと、口の中に入れた。

「僕の嫌いな食べ物、よく覚えていたね」

小宮課長が言った。

「家族みんなで食事に出かけた時、いつもトマトを皿の端に避けていたじゃないですか」

わたしは言い返すと、ナイフとフォークを使ってハンバーグを切った。

「でもトマトは嫌いなのに、ケチャップとかミートソースは食べれますよね?」

そう言ったわたしに、
「そこは僕もわからないところなんだ」

小宮課長は苦笑いをすると、スプーンでオムライスを口に入れた。
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