ラブリー
出張の翌日から、わたしは小宮課長に呼び出されることが多くなった。

わたしを見ている女性社員の視線が痛いのは、本当にわたしの気のせいであって欲しい…。

小宮課長のデスクに到着すると、
「3年前の見積書ってまだありますか?」

彼が聞いてきた。

「ああ、それでしたら資料室にあるかと思います。

わたし、取りに行ってきます」

わたしが答えたら、
「ありがとうございます。

堤さん、助かります」

小宮課長は微笑んでお礼を言った。

わたしは早足でオフィスを抜け出すと、資料室へと足を向かわせた。

「はあ、何でわたしがこんな目にあわなきゃいけないんだろう…」

資料室に入ると、わたしは息を吐いた。
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