ラブリー
特に最近は片瀬さんの存在にイライラしている。

お試しとは言え、小宮課長とつきあっているのはわたしだ。

部外者のあなたは関係ないと、そう彼女に物申したくなってくる。

「また小宮課長とつきあってるのか?」

佐和子が声をかけてきた。

「わたしは“別れてください”と言ったんだけどね」

わたしは言った。

佐和子のためを思って、ね。

「今度こそ本当に別れた方が身のためだぞ」

そう言った佐和子にわたしは視線を向けた。

「小宮課長の気持ちが傾くのも時間の問題だぞ」

佐和子はそう言うと、パソコンの画面に視線を向けた。

チクリ…と、わたしの胸が痛んだ。

わたしもパソコンの画面に視線を向けたが、全くと言ってもいいほどに集中することができなかった。
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