ラブリー
もう三平のヤツ、絶対に他人事だと思ってるよね…。

と言うか、酔った勢いで何をムチャぶりしてくれてるんだよ…。

心の中で三平に毒を吐きつつ、わたしは会社のビルの前に立っていた。

当然のことながら、会社は閉まっていた。

腕時計に視線を向けると、後少しで夜の9時になろうとしていた。

ほら見ろ、終わってる。

小宮課長もとっくに帰ってるに決まってるよ。

三平に告白しろと言って追い出された以上、居酒屋に戻るのは無理だろう。

何より、酔っ払った三平と関わりたくないし…。

このまま家に帰ろうかと思っていたら、
「遅くまでお疲れ様でした」

どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。

えっ、ウソ?

絶対に帰ってると思ったのに、まだ仕事をしていたの?
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