ラブリー
そのとたん、わたしの心臓がドキドキと鳴り始める。

ああ、そうなんだ。

何だかんだと言いながらも、わたしは小宮課長のことが好きなんだ。

憧れの気持ちとか上司としての尊敬の気持ちじゃなくて、男として小宮課長のことが好きなんだ。

今すぐに小宮課長に会いたい。

お試しの関係を辞めて、本当に小宮課長とつきあいたい。

あの頃みたいに“健ちゃん”と彼のことを名前で呼びたい。

そう思ったら吉日、わたしは首を動かして小宮課長の姿を探した。

その場にはいなかったので、今度は足を動かして歩いて小宮課長を探しに行った。

「あっ…」

会社の玄関から少し離れたところに、小宮課長の姿を見つけた。

よかった、すぐ近くにいた!

「小宮か…」

声をかけようとしたけれど、続くことができなかった。
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