ラブリー
「――もう、あなたの顔を見たくないからです…」

そう言って正直に話したわたしに、
「えっ…?」

小宮課長は驚いたようだった。

「あなたのことが好きだから、もう顔を見たくないんです…。

あなたの顔を見ると、つらいんです…」

震える声で退職理由を告げたわたしに、
「じゃあ、僕が会社を辞めればいいのか?」

小宮課長が聞いてきたので、わたしは首を横に振った。

「辞めるのは、わたしだけでいいです。

それに小宮課長にはおつきあいをしてる人がいて…」

「つきあってるって、誰と?」

そう言ったわたしに小宮課長は訳がわからないと言う顔をした。

「片瀬さんとつきあっているじゃないですか?」

わたしがそう言ったら、
「僕は彼女とつきあってないぞ。

それに僕が彼女とつきあったら、彼女の夫から不倫だって言われて訴えられるぞ」

小宮課長は首を横に振った。

あれ、何だか話が噛みあわないぞ…?
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