ラブリー
「あれは、ただ単に受け止めていただけだったんだ。

彼女が転びそうになったところをこう…」

小宮課長は受け止める動作をしながら答えた。

「えーっと、だから…」

近くにあったクッションを手に取ると、
「まあ、こんな感じで…」
と、クッションを抱きしめた。

なるほど、確かに抱きあっているように見える…。

と言うことは、
「…わたしの勘違いだった、と言うことですか?」

「うん」

そう言ったわたしに、小宮課長は首を縦に振ってうなずいた。

会社を休んだこの3日間、わたしは何をしていたと言うのでしょうか?

蓋を開ければ特にたいしたことはなかったと言う勘違いに、わたしは何を悩んでいたのでしょうか?

あまりのオチに絶句をしていたら、
「さっきの言葉は本当かい?」

小宮課長が聞いてきた。
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