女の矛先はいつも女に
「もしもし。ごめんな急に。
奈緒美ちゃんに相談したいことあって。」
奈緒美ちゃんは私の名前です。
きたきた。なんだろうな相談って。
雄介ってこんな声なんだ。低くて男らしい声。男の人と電話するの始めてだからか緊張するな、、、。
「わ、わたしでよかったら話くらいなら聞いてあげるよ~」
「ごめんな。愛菜とのことなんだけどさ。どう思う?愛菜は別れたいって言ってるんだけど、別れた方が愛菜は幸せかな?」
「そうだね。友達としては、愛菜が泣いてる姿見たくないし、これから先もこの件で喧嘩がたえないと思うから別れるなら今だと思う。」
本当は、いろいろ言いたい。なんで愛菜の友達妊娠させたの?どういう神経してるの?ふざけるなよ!クソ男!、、、まあ、でも、関係ないし、我慢我慢。
「俺さ、昨年父親が急に死んでさ、そのとき愛菜に側にいてほしかったけどあいつバイトで忙しいっていって話とか聞いてくれなくて、そのとき側にいてくれた人なんだよね。」
雄介、お父さん亡くなったんだ。愛菜から聞いてなかったな。
「愛菜は仕返しって言って今彼氏が5人いるんだって。全員と体の関係持ってるよ。雄介悔しい?って。俺のせいだけど愛菜にはそんなことしてほしくなかった。」
私の知らない愛菜。
私の知らない雄介。
みんないろいろあるんだな。
気がつけば朝まで電話してた。愛菜の話は少ししかしてない。好きな漫画の話。好きなテレビ。自分の話。雄介の話。
「奈緒美ちゃんっていい子だね。」
「やめてよ。愛菜泣かす最低男くん」
「また相談乗って」
「んー、考えとく!」
男に免疫なさすぎて、少しキュンとする自分がいた。こいつだけは好きになったらいけない。絶対に。