嘘を愛して。
「うん、そうみたい。
さっき陽一が引っ張ってたよ」
「相変わらず仲良しだね」
「皆同じ部活ていうか、趣味が合うからね」
なんて、どうでもいいことを話すこの時間が最高に幸せだ。
告白したら失ってしまうこの隣を、いつか奪われてしまうこの隣を私はまだ手放せない。
「ありがとう、先生送ってくれて」
着いてしまった目的地、もう私達は先生と生徒。
恋愛の対象としてお互い見てはいけない。
「では、また物理の時間に会いましょう」
そう言って先生は職員室へと向かう。
手を伸ばしても届くことは決してない。