完璧執事の甘い罠


「しっかりしろ、ジル!アジトの目途はたった。すぐに出るぞ」



騎士団を集め、事情を話調べを進めていくと、最近城下町で暴れている軍団があるという情報を得た。
金さえ出せばどんなことでも請け負うというその連中が、最近物騒な話をしているのを聞いたという者の証言が得られたのだ。




「馬を出す。・・・ジル、お前も行くか?」

「もちろんです」



犯人への怒りが抑えられない。
それ以上に、護りきれなかった自分への怒り。




「自分を責めんな」

「・・・」



ノエルは私の様子を見て、そう言う。
そんなの、無理な話です。
この怒りは、どうしようもおさまりはしない。
無事に、ひな様を取り戻すまでは。


犯人の目的も、動悸も、なにもわからない。
要求なんてものが王のもとに来たわけでもない。

時を待っているのか、それとも。



しかし――――、
運命というものは、時に残酷なものだと思い知る。






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