完璧執事の甘い罠



あの者たちを手引きした者は、おそらく限られるでしょう。
ひな様の存在はまだ公表されてはおらず、限られたものしか知らない。
存在どころか部屋の場所まで知っていたとなると・・・。


手引きした者が判明するのはおそらく時間の問題だろう。




「ひな様・・・。申し訳ございません・・・。この命に代えてでも、お守りすると誓ったというのに・・・」





脳裏に残る、無残な姿。
後悔先に立たずというのは、まさにこういう事だと。


深い傷を負わせてしまった。
こんなにも、綺麗な身体に。




「・・・アリス様・・・」




私はあなたに、顔向けできないことをしてしまいました。
護りたかった。


あなたの代わりに。
それなのに。




「・・・ぅ、・・・・や、嫌っ!」




ピクッと身体を震わせたひな様が、突然魘され始めた。
ハッとして身体を起こし、ひな様の身体を揺さぶる。




「ひな様!目を覚ましてください!ここは、城です!ひな様のお部屋です!」




悪夢にうなされているのだろう。
覚醒させなければ。



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