完璧執事の甘い罠
いつまでも、塞ぎこんでいてはだめだ。
ジルのあんな顔、もう見ていたくない。
もう大丈夫。
最後までされたわけじゃない。
だって、ジルが助けてくれた。
皆が、助けてくれたもの。
カタカタ
窓が風にあおられ音を立てる。
その音に、必要以上にビクついてしまう。
些細なことが、怖くなってる。
強くなりたい。
私が私でいるために。
ここで、生きていくために。
まずは着がえよう。
そう思いベッドから降りると、足に力が入らずへなへなと座り込んでしまった。
ずっとベッドにいた上に、食事もろくにとっていなかったから・・・?
身体に力が入らない。
それでもどうにか身体を起こしクローゼットに向かう。
自分でドレスを選んで袖を通した。
ドレスへの着替えにだって慣れた。
馴れた手つきでドレスを着替えると、気合を入れるように深呼吸をした。