完璧執事の甘い罠
「ひな様っ!!」
作ってもらった料理を食堂で食べていると、慌ただしくやって来たのは、ジル。
珍しく息が上がり肩で息をしている。
「ジル?珍しいね、ジルがそんな慌てるなんて」
「何を言ってるんですか・・・。当たり前でしょう、ひな様が・・・」
眼鏡をぐいっとあげながらため息交じりでそう言う。
相当心配させたんだろう。
ずっと、側にいてくれたこと覚えてる。
ずっと、ジルが自分を責めていたことも。
「いつまでも、落ち込んでいられないもんね」
「ですが、それだけのことがあったんです」
「大丈夫だよ。今日からレッスンまたお願いしてもいいかな?」
「ひな様・・・。ひな様がそうおっしゃるのなら」
ジルは、まだ何かを言いたそうだったけど、私が頑なだからかそれ以上はなにも言わなかった。
これでいい。
いいんだ。