完璧執事の甘い罠
「・・・変な事言ってごめんね。冗談だよ」
「ひな様・・・」
「さすがに眠くなってきた。もう、寝るね」
「ひな様、私は・・・」
「おやすみ、ジル」
ジルの言葉をさえぎって、押し返すように肩にかろうじて触れていたジルの手を払いのけるとベッドにもぐりこんだ。
なに、言ってるんだろう。
ジルを、困らせたいわけじゃなかったのに。
「後悔、しませんか?」
「・・・え?」
「先ほど言った事を、あとで後悔することになるのではないですか?」
「・・・しない。後悔なんて、絶対にしないよ」
そう言いながら振り向いた私の唇を、ジルが塞いだ。
触れた柔らかな感触に胸がトクンと鳴る。
あの男にされた時には感じなかった、感覚。
一度離れた唇が、再び重ねられ私の頬に添えられた手が優しく頬を撫でた。
「・・・ん、」
甘く、痺れるような感覚。
離れていく温もりを追うように目を開くと、今まで見たことのない男らしい表情のジルの顔。
それを見て、一層胸が高鳴った。