完璧執事の甘い罠
「ジルは、真面目だからな。余計に考えるんだろ」
「うん・・・」
「あいつ、お前の事になると、ほんと人格変わるからな」
「え・・・?」
からかい交じりの声色に、私は顔をあげる。
「お前が大事にされてるってこったよ」
ポンッと大きな手が私の頭に乗せられる。
なんだかんだと、優しいノエルに私は救われる。
大事にされてる。
そんなの、ずっとわかってる。
執事だから、そんな言葉で片付けられないくらいジルは私を思ってくれてる。
それは、姫としてかもしれないけれど。
私を必要としてくれている、その事実が今の私には嬉しい。
誰もいなかった私に、唯一できた希望。
私を必要としてくれる人。
だからこそ私は、ジルを執事として以上にジルを必要としてる。
ジルの事が、きっと、私は、好きになっちゃってるんだ。