完璧執事の甘い罠


「わ、わかってるよ。忘れてないけど・・・、でも、どこに行くのもついてきてなんて迷惑でしょう?一人で散歩くらいできるよ・・・」

「お前は、自分の立場が分かってないのか?最近自覚が出てきたと思ってたけど錯覚か」

「自覚って、姫の?確かに、迂闊かもしれないけど、あまりに閉じ込められると窮屈にだってなるよ」




最近はジルだって過保護だし。
私だって、誰にどう思われてるかわからない。
そういう人たちがなにをするかわからないってことは、よくわかった。

だから気をつけなくちゃいけないことも、怖い思いをしたことだって忘れたわけじゃない。




「お前、ほんとわかってないだろ」

「な、なにが・・・」

「前みたいな、お前が姫だと認識してる人間が限られてる状況はもう終わったんだ。この国全体が、いや、世界全体がお前を姫だと認識してんだぞ」

「そ、れは・・・」

「お前を陥れようとする他国の人間や、最悪暗殺を企てるやつが現れてもおかしくない状況なんだ」





暗殺って・・・。
不穏すぎる言葉に、背筋がぞっとする。

争いが当たり前にある世界。
そういうことがあってもおかしくないんだ。




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