完璧執事の甘い罠
ふて腐れた姫君
「初めまして、ひな様!私、ヨハン=カミュと申します。姫様のお世話をさせていただきます、執事です!」
「・・・そう」
「ヨハンとお呼びください」
「・・・わかった」
私がいくら声を大にして叫んだところで、なにも変わりはしない。
それは痛いくらいに王さまとの対談で痛感した。
あの後何度も訴えたのに、全く聞き入れてくれなくて。
ジルには、訴える事すら拒絶された。
信じられない。
そして部屋に戻された私を待ち受けていたのは明るく能天気そうな栗色のくりくりっとした天パの青年。
彼もまた燕尾服を着ているけど、ジルのものとは少し違うみたい。
「執事ってそんなにたくさんいるものなの?」
「あ、僕はまだ新人なので。ジルさまは、姫様の教育係も兼任されているので、執事としての身の回りのお世話は主に僕が担当させていただきます」
「そう・・・」
教育係・・・か。
なにを教育されるというのだろう。