完璧執事の甘い罠
「ひな様は、この国の姫君。そして私は姫君にお仕えする執事です」
「わかってるよ、そんな事。でも、私は!」
言ってしまえばもう止めることなんてできない。
この想いはもう、抑えることなんてできないんだ。
「ジルが好き。ずっと、ずっと側にいてほしいの」
だからお願い。
私を見て。
「ずっと、側におります」
私は、パッと顔をあげる。
でも、ジルは期待しているような表情ではなく。
「でもそれは、執事として。それ以上でも以下でもありません」
いつもの完璧すぎるほど執事の顔だった。