完璧執事の甘い罠


それなのに、私が勝手にそれを自分のいい方に解釈したかっただけ。




「よくわかんねぇけどよ。公務はちゃんとしろよ」

「・・・わかってるよ」





私も、ちゃんと姫として凛としてなくちゃ。
ジルみたいに、戸惑いもみせず。
なにもなかったみたいに・・・。


ひどいよ、ジル。
私、本気なのに。

私の気持ち、簡単に払ってしまうんだもの。



動揺も躊躇いも見せずに。





「・・・バカ」





例えばもう少し、苦しそうに気まずげにしてくれたりしたのなら。
私のこの気持ちは多少は軽くなったんだろうか。


例え、同じように届かない想いだったとしても。
心の中に残るしこりは、違っただろうか。





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