完璧執事の甘い罠
私はエスコートされるままテラスに備え付けられたベンチに座る。
エリック王子は少し席を外すと戻って来たその手にはブランケットが。
「ここは少し寒いから」
「・・・ありがとうございます」
「僕の肩を貸すから、少し眠るといい」
「え・・・?」
自分の事を“私”と呼んでいたエリック王子は少し口調がフランクになり優しくそう笑った。
私は戸惑いながらエリック王子を見る。
「体調がよくないのではない?顔色がよくないし、触れた手がとても熱かった」
「あ・・・」
さっき手に触れた時、何か考え込んでいるように見えたのは、私の体調に気づいたからだったんだ。
気を遣わせてしまったんだと申し訳なく思う。
「すみません。こんな時に、自分の体調管理もできてなくて・・・。姫失格ですね・・・」
「そんなことない。体調はどうしたって崩すときはあるし。ひな様は姫になってまだ日が浅いんでしょう?とても初々しくて素敵だと思ってみていたんだ」
「そんな・・・」