完璧執事の甘い罠


でも、私が知っているお母さんはいつだって笑ってた。
お父さんと仲がよくていつだって幸せそうだった。


それが、すべてだ。



「・・・お母さんに、会いたい・・・」




お母さんの肖像画を見て、その欲求はさらに高まるだけだった。
大好きだったお母さん。
優しくて、温かくて、いつも笑顔で。


私を愛してくれた。




意図せずに流れてきた涙を拭う事もせず私はぼんやりと湯船につかったまま。
どうせひとりなら、どこにいたって同じなのに。




終わりにしたい。
終わらせてほしい。





お母さん・・・。






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