完璧執事の甘い罠
「な、何が起きてるの?」
「わかりませんが・・・、おそらく何者かの襲撃を受けたのでしょう」
「え・・・」
襲撃って・・・、私たちを狙って襲って来たってこと?
いったい誰が・・・。
「ジル!聞こえるか!敵襲だ!」
「ノエル!聞こえます!相手は何者かわかりますか!?」
馬車の近くからノエルの張り上げる声が聞こえた。
外の様子を知らせてくれるらしい。
私はビクビク怯えながらジルに縋り付いた。
「武装していてわからない。紋章らしきものも見当たらない。敵の数が多い!恐らく狙いはこの馬車だ!」
「どうにか耐えてください!」
「わかってる!」
ノエルは報告を終えると戦いに向かったらしく声が聞こえなくなった。
この馬車が狙われているということは、狙いはきっと私・・・。
これが、姫になるってことなの・・・?
言われていたことが、現実のものとして重くのしかかってくる。