完璧執事の甘い罠
「・・・あれ・・・」
パチッと、目を開くと天井が見えた。
あれ?
私、なにしてたんだっけ・・・。
直前の記憶が出てこない。
ここはいったいどこで、なんで私はここにいるのだったっけ。
「目を覚まされましたか」
トーンの低い淡々とした声。
この声は、ああ、そうだ、ジルの声だ。
「目・・・?なにが・・・」
私は寝ていたんだっけ?
そうだったかしら。
なんとなくぼんやりとそんな事を考える。
だめだ、記憶が曖昧だ。
「自分の状況が、理解できていますか?」
「・・・えと・・・。あんまり?」
問われたことに正直に答えると、はー、と深いため息が聞こえる。
ため息吐かなくたっていいじゃないの。