完璧執事の甘い罠
「目を覚まされたか」
突然、ノックもなしに扉が開いたかと思えばガタイのいい男が現れた。
私は身を構えキッと睨みつける。
「威勢のいい姫君だ。王がお待ちだ。着替えを用意するからすぐに着替えろ」
男は私の睨みにも全く怯むことはなく、淡々とそう言った。
私は言われるがまま綺麗なドレスに着替え、再び錠をかけられると別室へと連れられた。
さっき、この男は王と言った。
やはり、ここはそういう位の高い人がいる場所なのだ。
だとしたら、ここは・・・。
「中に入れ」
押しやられるように大きな扉の中へと入れられる。
「待っていたぞ。アルバーナの姫君」
中で待っていたのは豪華な椅子に踏ん反り返るように座る、黒髪で長髪の男だった。
指にも服にもジャラジャラと黄金に光る装飾品を付け、傲慢な態度に思えるその人が、先ほど男が言っていた王様なのだと言われずともわかった。