完璧執事の甘い罠
「お前の名前は」
「・・・あなたに名乗る名はないわ」
「ふ、威勢のいい女は好きだ」
あざ笑うような声で笑われる。
どうせ小さな抵抗に過ぎないのだろう。
「まあ、お前に聞かずとも調べればわかること」
私は唇を噛んで睨みつけた。
「俺は、ダリウス王国の王、クロード=オーバン。ここは俺様の城だ」
「じゃあ、やっぱりここはダリウス王国なのね・・・」
そこまで連れてこられたのだ。
ここを逃げ出したところで帰り道なんてわからない。
絶望的な状況に気づき胸が苦しい。
「会って、私をどうしたいの・・・?」
「さあ、どうするかな」
クロードはそう言って顎を撫で付けた。
私はただ、怯えることしかできない。
どうなるの・・・?