完璧執事の甘い罠


「お前の名前は」

「・・・あなたに名乗る名はないわ」

「ふ、威勢のいい女は好きだ」



あざ笑うような声で笑われる。
どうせ小さな抵抗に過ぎないのだろう。



「まあ、お前に聞かずとも調べればわかること」



私は唇を噛んで睨みつけた。




「俺は、ダリウス王国の王、クロード=オーバン。ここは俺様の城だ」

「じゃあ、やっぱりここはダリウス王国なのね・・・」



そこまで連れてこられたのだ。
ここを逃げ出したところで帰り道なんてわからない。
絶望的な状況に気づき胸が苦しい。




「会って、私をどうしたいの・・・?」

「さあ、どうするかな」



クロードはそう言って顎を撫で付けた。
私はただ、怯えることしかできない。




どうなるの・・・?




< 186 / 357 >

この作品をシェア

pagetop