完璧執事の甘い罠
「お前も、いろいろあって疲れてるだろう?部屋に戻って休めよ」
「・・・大丈夫。ジルの側に、いたい」
「無理、すんなよ。・・・お前、本当にダリウスでなにもされなかったのか?」
「うん。そう言ったでしょ。私に会いたかっただけだって言われたの」
私は、王さまに聞かれた時もそう答えた。
それは本当だし、嘘じゃない。
皆は、少し疑っているけれど。
「じゃあ、俺外にいるからなんかあったら呼べ」
「うん。ありがとう。ノエルも無理しないで」
防具を着ていたからといって、ノエルだって怪我をしているんだ。
もう業務に復帰しているみたいだけど無理をしていないか心配。
「俺は、軟な体してねぇから大丈夫だっつの」
「・・・そっか。よかった」
ノエルが出ていくと、シンと静まり返る部屋。
私はベッドの横に椅子を置きそこに座った。
眠るジルを見るのは二回目。
新鮮なその姿に見入ってしまう。
それでも、怪我のせいで苦しそうな表情に胸が痛んだ。
私のせい・・・。
私を庇って怪我をした。
・・・ごめんね、ジル。