完璧執事の甘い罠


次の日も朝からジルの元へ向かう。
ジルはまだ眠っていて、話によると夜中に一度目を覚ましたという。


ずっとついていたらよかった。



私が戻ってきてから城内はとてもバタバタと慌ただしい。
国の問題になるのだから、とても大変のようだった。


私自身、漠然と他人事のような気分で。
どうせ、私の向かう結末には変わりはないのだと思ってしまうから。




「・・・ジル!?」



ジルがピクッと身じろいで、ゆっくりと目を覚ました。
私は身を乗り出して、ジルの視界に入れるようにする。



「ひ、な・・・様?・・・ひな様!」



私の姿を確認すると、ジルはガバッと起き上がり私の肩を掴んだ。
その瞬間、痛みが走ったのか顔を歪める。




「無理しないで、傷口が開いてしまう」

「ひな様・・・本当に、ひな様なのですか?」

「うん。ごめんね、心配をかけて」



< 196 / 357 >

この作品をシェア

pagetop