完璧執事の甘い罠
次の日も朝からジルの元へ向かう。
ジルはまだ眠っていて、話によると夜中に一度目を覚ましたという。
ずっとついていたらよかった。
私が戻ってきてから城内はとてもバタバタと慌ただしい。
国の問題になるのだから、とても大変のようだった。
私自身、漠然と他人事のような気分で。
どうせ、私の向かう結末には変わりはないのだと思ってしまうから。
「・・・ジル!?」
ジルがピクッと身じろいで、ゆっくりと目を覚ました。
私は身を乗り出して、ジルの視界に入れるようにする。
「ひ、な・・・様?・・・ひな様!」
私の姿を確認すると、ジルはガバッと起き上がり私の肩を掴んだ。
その瞬間、痛みが走ったのか顔を歪める。
「無理しないで、傷口が開いてしまう」
「ひな様・・・本当に、ひな様なのですか?」
「うん。ごめんね、心配をかけて」