完璧執事の甘い罠
「私が、女の人がいいって言っても?」
「はい」
はっきりそう言われる。
私の希望は関係ないの?
ジルにとって、私っていったいなんなの?
「風邪を召されますので、目を覚まされたのならナイトドレスにお着替えください」
「・・・」
「それとも、そのお手伝いも必要ですか?」
「いらない!」
怒鳴るようにそう言って私はベッドから起き上がった。
気だるさはあるけど、動けないわけじゃない。
用意されていたナイトドレスに着替えもう一度ベッドに戻った。
そこにはもうジルの姿はなかった。
「なによ」
冷たくて、厳しくて、表情なんて変わりもしない。
何考えているのかもわからない偏屈な執事。
大っ嫌い。