完璧執事の甘い罠


「私が、女の人がいいって言っても?」

「はい」



はっきりそう言われる。
私の希望は関係ないの?

ジルにとって、私っていったいなんなの?




「風邪を召されますので、目を覚まされたのならナイトドレスにお着替えください」

「・・・」

「それとも、そのお手伝いも必要ですか?」

「いらない!」




怒鳴るようにそう言って私はベッドから起き上がった。
気だるさはあるけど、動けないわけじゃない。

用意されていたナイトドレスに着替えもう一度ベッドに戻った。



そこにはもうジルの姿はなかった。





「なによ」



冷たくて、厳しくて、表情なんて変わりもしない。
何考えているのかもわからない偏屈な執事。



大っ嫌い。




< 20 / 357 >

この作品をシェア

pagetop