完璧執事の甘い罠
「これは・・・」
「ジル?」
「アリス様に私がプレゼントしたもので・・・どうしてこれをひな様が・・・」
ジルが・・・?
ジルからもらったネックレスをお母さんは大切に持ってた?
お母さんもジルのこと・・・。
なんて。
もう関係ないんだった。
いくら私がジルを思ったって。
ジルが私を想うことはない。
私の願いも叶うことはない。
「お母さんが大切にしてたものなの。そっか、ジルからの贈り物だったのね」
「アリス様が・・・」
ごめんね、と思う。
ここにいるのが私で。
お母さんに会わせてあげられなくて。
「ジル、お母さんのこと教えてくれる?」
「アリス様の事ですか?」
「うん。私の知らないこの世界のお母さんのこと」
「私でよろしければ」
ジルはそう言って話し始めた。