完璧執事の甘い罠
それから、ジルからお母さんの話を聞いたり、穏やかな日々を過ごした。
悲しい未来を思い出さないように。
「ジル!ダリウス王国が動き出した」
庭に出て、ジルとのんびりすごしていたら、ノエルが慌てた様子で飛び込んで来た。
「ダリウスが!?」
「国境辺りに軍を率いて来ているらしい!なにか仕掛けて来るつもりかもしれない」
「わかりました。こちらも、すぐに動けるよう準備を」
「ああ!」
ダリウス王国が。
そうか・・・もう、時間なんだ。
あっという間だった。
もっと、ジルといたかったよ。
もっと、もっと。
「ジル。お願いがあるの」
「ひな様、今はすぐにでも安全な場所へ」
「私を国境まで連れて行って」
「なにを・・・!そんなこと、できるわけありません!」