完璧執事の甘い罠


「ひな様・・・?」

「あ、ついたみたいね」




馬車の揺れが止まったのに気づき私は馬車の扉を開けた。
ジルに止められる前に降り、騎士達のいる方へと歩みを進める。




「ひな様!お戻りください!これ以上は危険です!」




ジルが私を追いながら叫ぶ。
その声に騎士達が何事かと振り向いた。




「お前、なんでここに」



その中にいたノエルが私の姿に驚きの声をあげる。




「道を開けなさい!」




できる限りの声を上げる。
騎士達が戸惑いながら道を開けた。




「おい、おい!」

「アルバーナの姫としてここに宣言します!」



ノエルの声を遮り私は声をあげる。
声は震えるけれど。



「私、ひなはこれより自らの意思の元、ダリウス王国へ向かいます!」




国境の向こうに、ダリウスの軍が見える。
そこに、クロード王の姿を確認した。




本当は、今すぐにでも逃げ出したい。
なにもなかったかのようにジルやノエル達といたい。


それでも。
私は、ジルやノエル達を守りたい。





守りたいの。




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